ストレスチェック制度のポイント(H27.12.1施行)
厚生労働省は改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の報告書を公表した。
■平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、
ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度※が創設された。
※ ストレスチェックとは、
事業者が労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査
▲ただし、従業員数50人未満の事業場は、制度の施行後、当分の間努力義務
※平成27年12月1日施行(1年以内ごとに1回)
■ストレスチェック制度の目的
→労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)が目的であり、事業場における
メンタルヘルスケアの総合的な取組の中に位置付けることが望ましい。
・定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、
本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、
個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させる。
・検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、
職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものも低減させる。
・さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に発見し、
医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然防止。
☆ポイント
1.ストレスチェックの実施について
○ストレスチェックの実施者となれる者は、
医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士とする。
▲ただし、検査を受ける労働者について、解雇などの直接的な人事権を持つ監督者は、
検査の実施事務に従事してはならない。
○ストレスチェックの調査票は、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」
及び「周囲のサポート」の3領域を全て含むものとする。
具体的な項目数や内容は、事業者自ら選定可能だが、
国が推奨する調査票は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」とする。
〇ストレスチェックの結果は実施者から直接本人に通知し、本人の同意がない限りは
事業者に提供してはならない。
→労働者からの同意は、書面又は電磁的記録によるものでなければならない。
○事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合、この結果の記録を作成
し、5年間保存しなければならない。
2.集団分析の努力義務化
○職場の一定規模の集団(部、課など)ごとのストレス状況を分析し、
その結果を踏まえて職場環境を改善することを努力義務とする。
3.面接指導の実施について
〇ストレスチェックの結果通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として面接指導
が必要と評価された労働者から申出があったときは、医師による面接指導を行うこと
が事業者の義務となる。
〇事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案し、必要があると認めるとき
は、就業上の措置を講じる必要がある。
〇事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
4.労働基準監督署への実施状況に関する定期報告
○常時50人以上の労働者を使用する事業者は、検査、面接指導の実施状況などについて、
毎年1回定期的に、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
→(様式第6号の2(第52条の21関係)「心理的な負荷の程度を把握するための
検査結果等報告書」)
5.労働者に対する不利益取扱いの防止について
○ストレスチェックを受けない者、事業者への結果提供に同意しない者、
面接指導を申し出ない者に対する不利益取扱いや、面接指導の結果を理由とした
解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等を禁止する。
6.労働者の健康情報の保護
○ストレスチェックの実施前または実施時に、事業者への結果提供に関する労働者の同意
を取得してはならないとし、結果通知後に個別に同意を取得しなければならない。
○集団ごとの集計・分析の単位が10人を下回る場合には、全ての労働者の同意を取得しな
い限り、事業者に結果を提供してはならない。
7.その他、留意事項
○ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析は、派遣先事業者が、派遣労働者も
含めて実施することが望ましい。